庭のスタイルによって良い庭の定義はいくつかありますが、一言で説明するなら『機能性と景観美のバランス』です。
これは造園の世界で「用と景」と表現されています。
用は利用、実用など機能性
景は景色、景観など風景美 を表しています。
茶道の宗家である千利休は、「渡り六分に景四分」と明示しました。
つまり、茶庭は歩きやすさに6割、造景に4割の比重を置くのが良いということです。
また、利休の弟子であった古田織部は「渡り四分に景六分」と言っています。
人それぞれ感性に違いはありますが、庭を構成する重要な要素は「用と景」であると、どちらも指摘しているのです。
このバランスにより生み出される庭が最も美しい、つまりは良い庭とされています。
最近は機能性重視のデザインや文言が多くなってきているような気がしますが、どちらが突出しても美しい空間(良い庭)とは言えません。
現在でも庭園をデザインするにあたって「用と景」のバランスを考えるのがとても大切です。
特に玄関までのアプローチ部分はその言葉を象徴する場所であると言えます。
景色を良く見てもらいたい場合に、アプローチをわざと歩きにくくしたり、迂回したりするのも「用と景」によるものなのです。
これから庭を考えている方、特に自分で作業なさるつもりの方は意識をしてみて下さい。