元々、庭は何のためにあるのか考えたことがある人はいるでしょうか?
それを知るために、まずは簡単に庭の歴史をさらっていきましょう。
意外と知られていないのが、ガーデンも園も囲われた果樹を植えた区域という意味があります。いつ侵略されてもおかしくない時代の人々は、安全で、食材を確保できる場所がとても重要でした。
それが時代を経て、比較的安全に過ごせるようになり、人に見せるため、自分の癒しのため、自分の力を示すために造られてきました。
また、和風庭園などは仏教思想を文字の読めない人に伝える手段として使われるようにもなったのです。
寺社仏閣が不可侵領域であった為でもありますが、有名な庭園がお寺さんに多いのはこの為です。
そして現代では敵もいなくなり、少ないスペースを広く見せるために、周りの空間を効果的に利用した、(セミ)オープンスタイルが流行っています。更にこのスタイルは、防犯上にも優れていると言えます。
この様に庭は時代背景と共に変化してきました。
情報社会である今、物の流行り廃りはめまぐるしく変化していきます。
しかし、庭においては現在どの様なスタイルをとろうとも大きな違和感があることは少ないと誰しもが思います。それは、庭がとても廃れるジャンル、スタイルが少ない上に、一つ一つが完成されたものだからだと言えると私は考えます。
庭は常に使う人間がこうしたいという望みから始まってきました。
それだけの素晴らしいものが多くあると何がいい庭なのか、自分の生活にあった庭はどれなのか、よく分からなくなってしまいます。
私達、造園家(ガーデンデザイナー)は庭を使う人、つまりはあなたの希望を叶える為にいます。
単なる完成までの道標を示すだけではなく、その後の姿も考えていますので、いい友人として長くお付き合いさせていただければありがたいです。
皆様の素敵なお庭をつくる為に、いくらでも有効利用してください。
構えることなく、世間話から始まる庭づくりもありますよ。
著:金井仙太郎